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奈良地方裁判所 昭和55年(わ)123号 判決

一 事務所所在地

奈良県橿原市葛本町七〇一番地

医療法人ひのうえ会

(右代表者理事長 樋上謙一)

二 本籍

奈良県橿原市縄手町二三七番地

住居

右同市葛本町七〇一番地

職業

医師

樋上謙一

昭和二年三月三日生

三 本店所在地

奈良県橿原市葛本町七〇七番地

三山商事株式会社

右代表者代表取締役

樋上重三

住居

右同市縄手町一〇一番地

出席検察官

宮下凖二

主文

被告人樋上謙一を懲役一年六月に、被告人医療法人ひのうえ会を罰金八〇〇万円に、被告人三山商事株式会社を罰金五〇〇万円にそれぞれ処する。

この裁判確定の日より三年間被告人樋上謙一に対する懲役刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実

第一、被告医療法人ひのうえ会は、奈良県橿原市葛本町七〇一番地において、外科、内科、小児科を診療内容とする病院を営むもの、被告人樋上謙一は、被告法人の理事長としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人樋上は、被告法人の業務に関し、その所得を隠匿して法人税を免れようと企て、

一、昭和五一年四月一日から同五二年三月三一日までの事業年度における所得金額は五、四五四万七、一二六円、これに対する法人税額は二、〇九七万八、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、自費診療収入の一部を除外するほか架空人件費を計上し、よって得た資金を関係会社三山商事株式会社の不正資金と混同の上、仮名定期預金、割引債券等として留保するなどの不正手段により、その所得金額のうち四、四八〇万五、八九九円を秘匿した上、同五二年五月三一日同県大和高田市三和町二番地の一七所在の所轄葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が九七四万一、二二七円、これに対する法人税額が三〇五万六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額二、〇九七万八、八〇〇円との差額一、七九二万二、四〇〇円をほ脱し、

二、同五二年四月一日から同五三年三月三一日までの事業年度における所得金額は三、九二四万三、九〇六円、これに対する法人税額は一、四八五万七、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち三、六三七万二、二四四円を秘匿した上、同五三年五月三一日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が二八七万一、六六二円、これに対する法人税額が八〇万三、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額一、四八五万七、二〇〇円との差額一、四〇五万三、四〇〇円をほ脱し、

三、同五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における所得金額は五、七〇九万八、五三六円、これに対する法人税額は二、一九九万二、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち四、〇四三万一、二一九円を秘匿した上、同五四年五月二八日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が一、六六六万七、三一七円、これに対する法人税額が五八一万九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額二、一九九万二、三〇〇円との差額一、六一七万二、四〇〇円をほ脱し

第二、被告三山商事株式会社は、奈良県橿原市葛本町七〇七番地に本店を置き、医薬品の販売業等を営むもの、被告人樋上謙一は、同会社の実質経営者としてその事業全般を統轄しているものであるが、被告人樋上は、被告会社の業務に関し、その所得を隠匿して法人税を免れようと企て

一、昭和五一年一一月三〇日から同五二年三月三一日までの事業年度における所得金額は六五三万一、五七七円、これに対する法人税額は二二二万一、四〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、架空人件費を計上し、よって得た資金を関係医療法人ひのうえ会の不正資金と混同の上、仮名定期預金、割引債券等として留保するなどの不正手段により、その所得金額のうち五〇七万四、六一五円を秘匿した上、同五二年五月三一日同県大和高田市三和町二番地の一七所在の所轄葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が一四五万六、九六二円、これに対する法人税額が三七万七、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額二二二万一、四〇〇円との差額一八四万三、八〇〇円をほ脱し、

二、同五二年四月一日から同五三年三月三一日までの事業年度における所得金額は三、三五七万九、一〇七円、これに対する法人税額は一、二五九万一、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち三、三三六万三、五一八円を秘匿した上、同五三年五月三一日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が二一万五、五八九円、これに対する法人税額が六万二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額一、二五九万一、六〇〇円との差額一、二五三万一、四〇〇円をほ脱し、

三、同五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における所得金額は三、三四九万六、九九八円、これに対する法人税額は一、二五二万一、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち三、一七三万二〇〇円を秘匿した上、同五四年五月二八日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が一七六万六、七九八円、これに対する法人税額が四七万四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額一、二五二万一、七〇〇円との差額一、二〇五万一、三〇〇円をほ脱し

たものである。

適用した罰条

法人税法一五九条、一六四条一項

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条一項

裁判所書記官 川西浩

(裁判官 三好吉忠)

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